2012年3月21日水曜日

それだけの人生・・・

天職という言葉がある。
辞書を引くと【天から授けられた仕事の意】とある。

私は以前「胡弓」という楽器を教えて貰っていた時に先生から聞かれた事があった。

「お前は何がしたい?」

私は言葉に詰まった。何がしたいのだろう?これといって何かがしたいというものがなかった。
ただ、邦楽の溢れる家庭に生まれ育ち、邦楽の中に身を置いていたから
お琴も三弦も尺八も胡弓も一応習ってみた。邦楽だけではいけないから
ピアノを習い、部活はブラスバンド部に入った。ただ、それだけだった。

「お前は何がしたい?」先生はその後こう続けた。

「お前の父さんも兄貴もわしも、この道しかないと思ったからなぁ。だから迷ったり
しなかったがなぁ。お前は迷うとるなぁ。どうしたもんかなぁ。。。。」

天職って、あるんだ。。。

この言葉は、この先生が言うからすんなりと聞ける。
本当に迷うことなく、ご自分の道を進まれ、後進の為に道を開いて下さったのだろう。
迷わずに自分の行く先を知っている人は幸せだと思った。

先週、久しぶりに会話を交わした人がいた。
私が、過去にこんな事を言われ、これしかない!と言い切れる人は幸せだと思うと
話をすると、その人はこう言った。

「これしかない!と思えれば幸せだけど、それだけの人生。。。ってことも言える。
どうとるかは、人それぞれの生き方なんじゃないかな。」と・・・

そうかも。なるほどその通りかもしれない。
これしかない!と言える人は、その事に真摯に向き合って生きてきたのだろう。
だから、自信も持てるし、生き生きとしている。
それだけの人生、というと、なにやら虚しい思いも含まれる気がする。

私は残念ながら「これしかない!」と思ったことも、「それだけの人生」と思ったことも無い。
良いか悪いかは、死ぬ時に分るだろうが、少なくとも、いろんな人生の選択肢を持って
こられたのだと想う。ただし、上手に選択できなかった事の反省は、もう少し後回しに
することにしようと思う。

天職を考えるには、少し年を重ねすぎたかもしれない。。。






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