天職という言葉がある。
辞書を引くと【天から授けられた仕事の意】とある。
私は以前「胡弓」という楽器を教えて貰っていた時に先生から聞かれた事があった。
「お前は何がしたい?」
私は言葉に詰まった。何がしたいのだろう?これといって何かがしたいというものがなかった。
ただ、邦楽の溢れる家庭に生まれ育ち、邦楽の中に身を置いていたから
お琴も三弦も尺八も胡弓も一応習ってみた。邦楽だけではいけないから
ピアノを習い、部活はブラスバンド部に入った。ただ、それだけだった。
「お前は何がしたい?」先生はその後こう続けた。
「お前の父さんも兄貴もわしも、この道しかないと思ったからなぁ。だから迷ったり
しなかったがなぁ。お前は迷うとるなぁ。どうしたもんかなぁ。。。。」
天職って、あるんだ。。。
この言葉は、この先生が言うからすんなりと聞ける。
本当に迷うことなく、ご自分の道を進まれ、後進の為に道を開いて下さったのだろう。
迷わずに自分の行く先を知っている人は幸せだと思った。
先週、久しぶりに会話を交わした人がいた。
私が、過去にこんな事を言われ、これしかない!と言い切れる人は幸せだと思うと
話をすると、その人はこう言った。
「これしかない!と思えれば幸せだけど、それだけの人生。。。ってことも言える。
どうとるかは、人それぞれの生き方なんじゃないかな。」と・・・
そうかも。なるほどその通りかもしれない。
これしかない!と言える人は、その事に真摯に向き合って生きてきたのだろう。
だから、自信も持てるし、生き生きとしている。
それだけの人生、というと、なにやら虚しい思いも含まれる気がする。
私は残念ながら「これしかない!」と思ったことも、「それだけの人生」と思ったことも無い。
良いか悪いかは、死ぬ時に分るだろうが、少なくとも、いろんな人生の選択肢を持って
こられたのだと想う。ただし、上手に選択できなかった事の反省は、もう少し後回しに
することにしようと思う。
天職を考えるには、少し年を重ねすぎたかもしれない。。。
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